3.社会だよ~ん

何から手を付けたらいいかわからない中3生のために(社会編)


◇ 用意するもの ・・・ 社会の教科書(地理・歴史・公民)、必要に応じて、資料集


◇ 1日の所要時間 ・・・ 20~30分


◇ 症状 ・・・ 社会がニガテな人、社会は暗記だと思っている人


◇ 使用法

・分野は何でもかまわない。とにかく、教科書を読んでみよう。…と、これで終わらせたんじゃ、面白くもなんともない。「教科書をよく読め」なんて、耳にタコができるくらい言われてることだよね。よく読めってどういうことなのか、だれも具体的に示してくれない。だから、一応、読んでは見ても、「なんだ、つまんねーや」ってことになっちゃう。
 これから述べる方法で、教科書を読んでみてくれ。きっと、何か見えてくるハズ。


・本文を読む(1) … 今回は、題材として、東京書籍「新編 新しい社会 地理」を使ってみる(解説書、ワークブックの無断発行は禁ずるとあるが、許可なき引用を禁ずるとはなかったので、引用させてもらった。問題あらば、ご指摘下さい。直ちに削除します)。他のメーカーの教科書の人、ゴメンナサイ。

 P208の阪神工業地帯について。本文は、
「明治時代に入り、大阪に大規模な紡績工場がつくられ…」

とあるが、ちょっと待った。「紡績工場」って何だ? 何をつくってるんだ?
 早速、わけのわからん言葉が出てきた。どうしよう? じゃあ、調べよう。辞書で「紡績」を調べると、「糸をつむぐこと」「動植物の繊維を加工してつくった糸」とある。蚕(かいこ)のまゆから絹糸をつくったり、綿花から綿糸をつくったりする工場のことだったんだね。「紡績」でネット検索してみたら、紡績工場のページがうじゃうじゃ出てきた。中には建物の写真もあるから、イメージもわきやすい(明治時代じゃないけど)。

 次に、「軽工業」、「重化学工業」などという言葉が、次々に出てくる。幸い、P300の解説を見ろって矢印がついているから、そっちで調べれば、お手軽。「軽工業」ってどんな工業なのか、何を生産しているのかわからないまま、地理の勉強をしようってたって、そりゃ無理だゼ。

 このように、意味がわからない、実感がわかない用語を放置したまま読んでいくから、ちっともおもしろくないし、内容も理解できない。
 

・本文を読む(2) … 次に、考えながら読むという、ちょっとハイパーな例を。

 P208の阪神工業地帯の課題として、
「…これらの製品は、アジア諸国からの安い製品と競争していかなければならず…」
「京浜地区に比べ、製品の販売圏がせまく、さらに世界からの情報なども少ない…」

とある。なぜ、アジア諸国の製品は安いのか? なぜ、阪神は京浜に比べ、販売エリアがせまいのか、
情報が少ないのか?

 まず、自分なりに考えてみよう。ただし、これは上級向け。用語の意味と違って、調べるのが大変だから。自分が疑問に思った事柄をノートに書き出したものを、信頼できる社会の教師に手渡し、書き込んでもらうなり、説明してもらうのが、手軽な方法だと思う。ちょっとセコイが、今回のテーマは「気軽な学習法」なんで…。


・図や写真を読む … 「教科書を読む」っていうと、活字の部分しか読まない人がいる。そうじゃなくて、「図・表・写真」も「読む」んだ。例えば、

 P82にタイとインドネシアの田の写真がある。とりあえず、両方とも田んぼに見えるが、タイは思い切り平地、インドネシアは山を削って、かなり苦労して田んぼをつくっている。なんでだろうね~?

 P83では、米のおもな生産額の地図と資料がある。米の生産額ダントツは中国。なんたって、人口がちがうよ。おっと、わが日本も、それなりに多いじゃん。米は、アジアが生産の中心だな。なんでブラジルで米つくってんだろう?

 このように、その気になれば、資料を見ながら、いろいろなことが頭に浮かんでくる。これが「考える」ということなんだ。
 
 
・ここまで述べたような教科書の読み方をすれば、たった1ページ読むのに、かなりの時間がかかるはず。最初に1日20~30分なんて書いてあるけど、アッというまに過ぎちゃうよ。


 今回、たまたま地理のみを取り上げたが、歴史・公民も同じような読み方をしてみよう。しばらく続けていると、社会という教科に対する認識が大きく変わってくるから。


 何事に関しても、まず、興味を持とうよ。たった1つの言葉、たった1枚の写真。何気に見過ごすんじゃなくて、ちゃんと中を見てあげよう。そうすることで、こいつらに、命を吹き込むことができるんだ。




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